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予備校講師天国すぎワロタwww

0 名前:中島義道 ◆m.ClQ03k:2010/03/13 03:10
後に再入学して修士論文を書き、30歳のとき大学院を追い出された私は、
やや落ち着いていた。もう会社巡りをしようとは思わなかった。
もうどの会社も採用してくれないだろうと思って、安心したこともある。
そして、お決まりのコースで予備校講師と塾講師に納まった―

新聞広告を頼って近所の塾に行った。入社試験を受けたところ、成績が良かったので、
中堅予備校に紹介してくれるという。とても嬉しかった。
その結果、自由が丘と横浜の予備校の英語教師の職を得た。
これが私の「三十にして立つ」姿である。(孔子『論語』)

予備校講師は当時の私にとっては、これ以上無い程ぴったりしていた職業だった。
布団の中であれ程求めていた「美しい敗者」として生きる願いが私の体の中に沈殿し、
その職業を探り当てたのかもしれない。

授業の時だけ出勤すればいい時間講師なのだから、新入社員研修もなく、
同僚もひねた人が多く、みな何らかの敗者であって、しかもエリート集団から外れた
知的人種であり、「暗さ」も適当にある、ひとまず満足だったよ。

そこで、私は初めて呼吸がぴったりした人種に出会った。
予備校の授業を終えて毎晩のように、横浜や自由が丘を飲み歩いたもんだ。
世間を軽蔑し、お互い同士を軽蔑し、そんな自分を一番軽蔑し、
という自嘲的雰囲気が立ち込めており、居心地が良かった。

しかし、実はそういう彼らも自分も、仲間の誰かに大学から声がかかると色めき立つ。
平静ではいられないのだ。こうしたすね者の誰もが、大学の常勤の職が降ってきたら、
はいはいと予備校講師なんておさらばしてしまうだろう、という実感もあった。
その欺瞞性にちくちく痛みながらも、どうにか豪快に生きていこうとしたわけさ。

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